昨日の続き。
①のポイントで一通りの列車を撮り終えて満足したので、次は風景を絡められる場所をと思い立ち、ロケハンをかねて最寄の新祝園駅に向けて歩み始めた。これが16:30ごろ。この頃になると少しずつ雲がとれてきて、優しい青空が顔を覗かせるようになった。翌日に夏至を控えたその表情には、地球的な力強さと余裕が感じられるようだった。
10分ほどすると、線路側に水の張られた田んぼの開けた場所に出会ったので、ここで構えることにした。太陽はようやく傾きかけたところだが、依然青色が強い。今こそ夏である。
近鉄は架線柱も大柄である。インフラとは何かを体現しているようである。交流25,000Vの新幹線でもここまで大袈裟なものは見かけないので、これもまた近鉄らしさ、なのだろう。
ついに出会った「伊勢志摩ライナー」である。黄色いオーシャンアローのように見えるが、実はこの23000系の方が283系よりも2年ほど早くデビューしている。つまりイルカ顔の元祖はこれである。やっぱり明るい色の列車は良い。
伊勢志摩ライナーは、その名の通り名京阪〜賢島を結ぶ特急であるが、実は京都発奈良行きの伊勢志摩ライナーが夕方に1本だけ存在する。実は私も妻と2人で乗ったことがあって、短時間ながらもサロン席は至極快適であった。名前と行き先が矛盾しているが、それもまた近鉄の面白さである。
次にビスタがやって来た。近鉄のことはまだよく知らないのに、わかったように“ビスタ”とか呼んでいる。この呼称が正しいのかはわからない。
それにしても、輸送効率が重視されるコロナ前までの鉄道業において、ダブルデッカー車が淘汰されず当たり前に走っているのは素晴らしい(京阪もそう)。もしこれが10両を超える編成の中の2両とかであれば選択肢の1つかと思って流すところだが、ビスタの場合はたった4両のうち2両ーつまり半分を占めているので、「これに乗れ」ということである。言うまでもなく私はその心意気が好きだし、ぜひ乗ってみたいと思う側の人間である。
最後は「しまかぜ」。こちらは登場から6年経つが、未だにチケットは取りにくいという。大きな車体を鯨のようにうねらせながら、終点・京都に向けて駆け抜けて行った。
―つづく