★PENTAX K10D + smc PENTAX-A ZOOM 70-210mm F4
F4.0 1/750 ISO-140
雨の日が続く。インドア時間を使って過去に撮った写真を見返す機会が増えた。先の緊急事態宣言をきっかけにそういう時間を持つようになったが、まるで記憶の栞を1枚1枚たどっていくような思いがする。いつもはすっかり忘れているのに、とある写真を見ればその日に何をしていたのか、どういう足取りでそのポイントにたどり着いたのか、どういう気持でシャッターを切ったのか、どういう景色を眺めながらチャリをこいで帰路に就いたのか、色んなことが瞬く間にして、それが事実であるかどうかは別としても、頭の中に次々と蘇ってくるのは非常に興味深い体験であり、写真やカメラを単純な趣味として片付けることがいっそう憚られる。
それを撮っているときはただ撮りたい、撮るのが楽しいという思いで撮っているだけなのだが、十年一昔とはよく言ったもので、撮影から12年の月日を経た今見返してみると、たちまち懐かしい気持ちが湧いてくる。自分の人生にしっかりとした“10年前”が存在するようになったほど、気づけば歳を重ねたことにも気付かされる。
記録媒体がフィルムからデジタルになり、写真は名実ともに色褪せないものになりつつあるのかもしれないが、たとえそれがどんなにクリアでヌケの良い今どきの写真であっても、あと10年も経てば懐かしさを呼び起こす栞になるのかもしれない。
