ドクターイエローといえば非常に有名で、様々なメディアで取り上げられている機会も多いせいか、鉄道ファンでない人にも広く知られた存在である。巷では「見たら幸せになれる」と言われているようだが、それもまた高倉健の遺した偉大な功績の1つに挙げられるかもしれない。
今でこそ営業列車と電気軌道総合試験車を分けているが、九州新幹線やJR東日本の在来線に見られるように、営業列車を活用したモニタリング技術がすでに実用化している現状を踏まえると、黄色い新幹線が走らなくなるのも時間の問題かもしれない。そんな個人的勝手な予測もあって、思い立ったが吉日、初めてのドクターイエロー撮影に出かけてきた。
山陽新幹線の撮影スポットはよく知らないので、前夜グーグル先生の力を借りてリサーチしてみたところ、山陽本線は東岡山駅のほど近くに良さげな場所があることを知った。そうとわかれば、あとは早朝の下り新快速に乗り込むだけである。
東岡山駅は山陽本線と赤穂線が分岐する駅である。改札口を出てすぐのデイリーヤマザキ(なんともレアで懐かしい)で追加の水分を調達し、徒歩10分ほどの場所にある宍甘遊園地にやってきた。
いかにもテーマパークっぽい名前だが、その実ちょっとした展望台を兼ねた広場といった趣で、遊具の類は見当たらず、ポリエチレン製のベンチが数台あるだけの簡素なものだった。
この場所はちょうど山陽新幹線のトンネル口の真上にあたるため、行き交う新幹線をキレイに望むことができる。なるほど、駅のホーム以外でこれほどスッキリと新幹線を撮影できる場所は少ない。多くの人が訪れるのも頷ける。
私が現地に到着したのはドクターイエローが通過する1時間半ほど前だったのだが、すでに3名の先客がおられた。この場所は木陰があるので今日のような残暑の厳しい日でも比較的過ごしやすい。ツクツクボウシの声をBGMに甘い甘い白バラコーヒーを啜りながら、静かにその時を待った。
―つづく