若手おいさんの日記

よく食べ、よく飲み、マイペースで生きましょう。

201213_量産型の楽しみ方

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PENTAX KP + smc PENTAX-A ZOOM 70-210mm F4

F5.6 1/640 ISO-100

 生来人間は数が少ないものや珍しいものには目がない。これは人それぞれの趣味においてもそうで、例えば私のような撮り鉄らにしてみれば、残り少なくなった国鉄型の機関車が牽く貨物列車や、同じ系式でも他とは違う特徴を持った列車を追いかけがちである。

 私も多分に漏れずその性質を備えているのだが、米原駅で新幹線を撮るようになってから、量産型に変化の楽しみを見出した。これは非常に大きな収穫であり、5087レの前哨戦で撮影した223系を撮影した際にそのことが思い起こされ強く自覚したので、ここに書き記しておこうと思った次第である。

 東海道新幹線を走る列車はN700系列に統一され、来る列車全てがほとんど同じ顔をしていて変化に乏しい。趣味人にはこれを「つまらない」とする向きも多く、かつては私もその一員だった。しかし、新幹線を撮るという行為自体の個人的な新鮮さに助けられる形で、たとえ形は同じでもアングルや光線の具合によって見せる表情が全く異なること、そしてそれを捉えることの面白さと楽しさに気づくことができた。

 車種統一を図ることですることでメンテンナンスの効率は上がるし、係員向けの教育時間も節約できる。ダイヤ乱れによる編成の差し替えにも柔軟に対応することができるし、サービスクオリティを均一化することもできる。一般に鉄道車両は、気候、人口、法令、運行会社の経営理念等に基づいて仕様が決まるから、必然的に少量多品種生産型のオーダーメイド製品になるから、運行会社はボリュームディスカウントを狙いたい。その意味でも車種統一は経営判断として選択されやすい。

 鉄道車両もまたマイナーチェンジが行われる。写真の223系も製造時期によっていくつかのタイプに分けることができ、車体側面ビードの有無、窓ガラスの色など、それぞれが少しずつ違っている。そうした違いを見つけることもまた一興である。

 千日回峰行を成し遂げた大阿闍梨の方の著書で、「毎日同じ道を歩いていると少しずつ違いに気づく。それが面白い」という趣旨のことが語られていた。徳の高さでは雲泥の差があるものの、鉄道写真の道にも相通じるものがあるのかもしれない。

 以上、俗世に溺れる青二才の戯言であった。

 

<参考過去記事>

oitanshi.hatenablog.com