若手おいさんの日記

よく食べ、よく飲み、マイペースで生きましょう。

20501_黄昏の近江鉄道

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PENTAX KP + smc PENTAX 67 300mm F4

F4.0 1/640 ISO-250

 連休3日目。午前中は曇り空が続き、午後からはしっかり雨が降るという予報だった。果たしてその通りになり、昼と夕方の間のなんとも表現し難い時間帯にあっては、ベランダの手すりを激しく叩くほどの雨が降っていた。しかしそれも一時のことで、間もなく小康状態となり、雲も高い位置に退いてからはパラパラ雨が降るくらいにまで落ち着いた。

 今日は妻が仕事で夕方まで留守にしていたので、朝から家事や仕事向けの勉強で時間を潰していた。ほどよく雨が降る頃になったら、飛沫を上げて走る新幹線を目当てに米原駅へと出向こうと考えていた。

 16:00になろうかという頃に自宅を出て、東海道線の上り列車に乗り込む。京都を17:30に発車する「のぞみ242号」がN700Sで運転されるから、それさえ上手く撮れれば御の字だった。

 私の乗せた列車は彦根に到着した。ふと近江鉄道のホームに目を遣ると、赤電が「米原」の行先を掲げて発車しようというところだった。これを見た瞬間、私はメインターゲットを変えるべきだと直感した。すなわち、降り頻る雨の中を疾走する新幹線N700Sではなく、湿った緑の中を行く近江鉄道の赤電を狙うことにしたのである。

 こういう衝動的なワクワクは大切にした方が良い。蓄積された経験が演繹的にもたらす結果こそが直感である。西の空にあった雲も取れてきたし、これはひょっとすると夕光さえ望めるかもしれない。

 そんな期待に胸を膨らませて彦根駅の改札を出る。右に折れて東出口へ向かう橋上通路を進む。階段を下りてロータリーへ出たところで、再び大粒の雨が降り始めた。しかし、この選択をした時点で傘を差しながらの撮影も念頭にあったので、それもまた“いとをかし”くらいの気持ちで目的の場所へと向かった。

 駅から歩いて数分。列車が、佐和山を貫くトンネルを抜けて坂を駆け下りて来るシーンを狙った。幸運なことに、ついさっきまで激しく降っていた雨も止み、澄んだ暖かな空気に太陽光が射し始めた。