“バカの一つ覚え”とはよく言ったものだが、私のこれもそれだと思う。
味を占めたのは間違いなくこの時で、それまで流し撮りなどほとんどやってこなかったのだが、「あれ?もしかしていけるんじゃね?」と確信じみたものを覚えた。もちろん百発百中というわけにはいかないが、入念な脳内シミュレーションを行うことによって、一定の成果が得られることがわかった。
テレワーク続きで文字通り動きの少ない日々が続く。このままではさすがに健康に悪かろう、ここで何か変化をつけるべきだろう、ということで、今日は夜の散歩と洒落込んでみた。
しかし、歩くことだけを目的に歩くのは欲張りな性に合わない。せっかくなら宵闇を駆ける身近な列車を写真に収めようと思い立てば、自然とモチベーションも上がった。
浜大津まで来てみた。ここは夜も明かりが多い。タイミング良く「びわこ号」が現れてくれた。電車用信号が進行表示になった瞬間、乾いたブレーキ緩解音が冬の冷たい空気を響かせたかと思えば、底力を感じさせるモーターの唸りを上げて、勢いよく駆け出していった。