気動車を撮りたいと思った。この類の衝動は不定期に訪れる。昨日、それに従って行動してきた。
理想は非電化区間を行くタラコ色のキハ40系列で、それも朝方に見られる長編成(と言っても4.5両で良い)なのだが、それに出会えるほどの遠くへ足を伸ばしている時間は無かった。
思案を巡らせていると、ある列車に思い当たった。“丹後の海”ことKTR8000形である。京都丹後鉄道の所有する特急型気動車で、特急「はしだて」「まいづる」としてJR山陰本線の京都まで乗り入れている。これなら近場で狙うことができる。
ご存じの方もいらっしゃるだろうが、これもまたかの有名な水戸岡鋭治氏によってリ・デザインされた列車である。車両自体は私の生い立ちとは全く関係が無いのに、一目見るとまるで故郷に帰ってきたかのような安心感を覚えるのはまさにデザインの妙である。
私は田舎者なので、大きなディーゼルエンジン由良の排煙の匂いを嗅ぐと郷愁じみたものに駆られる。時代はカーボンニュートラル。こんな感覚がいずれ人間から消え失せてしまうのかと思うと、けっこう寂しい。