時系列としては、昨日掲載した記事のカットよりこちらの方が先である。
金沢で乗り換えた「はくたか」号の車窓を眺めていると、空には思っていたよりも濃い春霞が立ち込めていて、雨晴海岸から立山連峰の稜線を望むことについては諦めつつあった。だがそうはいってもやはり、現地の様子を自分の目で確かめるまでは諦めきることができない。持ち前の往生際の悪さを発揮して、新高岡駅前から氷見市民病行きの加越能バスに乗り込み、とりあえず雨晴まで行ってみることにした。
バスが伏木の街まで至ってようやく諦めがついた。立山連峰への拘りを捨て、氷見線を走るタラコ色のキハと富山湾とを絡めたカットを探すことを考え始めたちょうどその時、バス右側の車窓に海岸線を走る氷見線の線路が見えた。春の陽気に和む富山湾と、小さな岬の高台に立つ白い灯台のアクセントが心の琴線に触れた。すぐに降車ボタンを押し、次の停留所でバスを降りた。
列車がやって来るまでにはまだしばらく時間がある。砂浜に寄せては返す穏やかな白波と潮の香り。新高岡駅の売店で仕入れてきた弁当を肴に、銘酒・立山の純米吟醸コップ酒を嗜み富山への挨拶を済ませる。
じきに頃合いとなり、お目当ての列車がやって来た。