若手おいさんの日記

よく食べ、よく飲み、マイペースで生きましょう。

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 RICOH GR III
F2.8 1/25 ISO-100

 東京に出張したのは久しぶりである。

 警報級の大雪が予報される中、逞しい東海道新幹線は定刻に私を東京駅に降り立たせてくれた。日中の仕事を終えて時間ができたので、小田急線の新宿駅へ。ちょうどVSEの特急「はこね」がやって来る時間だった。

 本当は1泊して沿線を訪れゆっくり撮影するつもりだったが、危ない天候に鑑みて日帰りすることにした。しかしやはり一目見ておきたいとの思いで時間をつくった。

 小田急の沿線に住んだことはないし、乗った回数も片手で足りるほどだが、縁はある。というのは、同社の創業者である利光鶴松氏が私と同じく大分県の出身であるということから、小田急財団が関わる団体から奨学金の給付を受けていたからだ。つまり、今の私があるのは小田急のお陰であると言っても過言ではない。

 当時、団体から送られて来る書類はクリアファイルに入れられていたが、そこにはデビュー間もないVSEが描かれていた。真新しい、まだ見ぬ大都会を走る流線形の私鉄特急列車は、田舎者の瞳にずいぶんと眩しく映った。

 そんなVSEも来月半ばで現役を退く。登場から17年、新幹線車両でもないのに随分と早い引退であるが、これは車体傾斜装置に代表されるその特殊な構造ゆえである。

 新進気鋭の白いロマンスカーの生涯は、短くも密度の高いものであったと思う。