中国地方の最高峰・大山。雪を頂くこの名峰の麓を駆ける特急「やくも」は憧れだった。
そしてついに今日、その姿を拝むことができた。
当初は高山本線を訪れるつもりでいたのだが、天気が芳しくないのでやめにした。改めて天気予報図を広く眺めたところ、中国地方がよく晴れそうなことを知り、ここで思い至ったのが冠雪の大山山麓を駆ける特急「やくも」の構図だった。
早速、お目当ての国鉄色編成とスーパーやくも色編成の運用を調べていると、前者は3/4(土)に車両故障に見舞われ、岡山方の3両が現行やくも色に組み替えられながらも最後まで運転を続けてその日を終えたことを知った。
大変な自分オンリー都合主義だが、こうしたイレギュラーは鉄道写真趣味に興ずる者らにとっては垂涎の的であり、まず故障を案じた次の瞬間には、こんなことを考えてしまう。すなわち、「もし翌日も状態が変わらぬまま同編成が運用に就けば、今や非常に珍しい2色混合編成が見られるかもしれない」―と。
翌朝7:00。遠出するにしては遅い時間に目覚めたが、起きてしまえばこちらのもので、あとは列車がびゅーんと最寄り駅まで連れて行ってくれる。「のぞみ9号」で岡山まで、そこから「やくも9号」に乗り換えてまずは米子を目指した。
「やくも9号」は通常ならば国鉄色6両で運転される列車だが、前述の期待は果たして現実のものとなり、国鉄色3両と現行やくも色3両とで編成が組まれていた。これの折り返しが今日のターゲットである「やくも24号」なので、出雲市到着後に車両交換がなされなければ、狙い通り2色混合の編成を拝むことができる。自然振り子独特の揺れに身を任せて2時間が経った。
米子で普通列車に乗り換えて来た道を少し戻る。岸本駅で下車して歩くこと30分弱。日野川の土手から望んだ名峰は、凛とした姿で力強くも優しく聳え立っていた。