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「雨の日には新幹線を撮るべし」というのは、すでに世の中で広く共有された形式知である。花冷えの今日は久しぶりに米原駅へ行ってみることにした。水しぶきを上げて颯爽と駆ける新幹線を見ることができるかもしれないと考えた。
着いてみると、雨は思っていたほどには降っていなかった。小雨がパラついているという程度。しかしそれでも、高速で走ってくる新幹線の車体は薄いベールを纏っていた。
そういえば、東海道新幹線で自動運転が始まることがアナウンスされた。対象はN700Sで運転される列車に限定されるようだが、ついにこの時がやって来たかという感じがする。
開業当初よりATCを採用している新幹線は、大胆な割り切りさえすればもっと早くに自動運転を実現することができたに違いない。しかし、この度の決断に至るまでに約60年という歳月を要した。この事実から、安全性が担保されるまでに乗り越えるべき技術的・政治的な壁の高さと数は相当なものであったと推察され、我々が毎日のほほんと享受する当然豊かな生活は、誰かの人生を懸けた仕事の上に成り立っていることを実感させられる。
明日からの労働にはモチベーション高く臨むことができそうである。
