若手おいさんの日記

よく食べ、よく飲み、マイペースで生きましょう。

210103_関西線で気動車を撮る

 わかってはいたが、先月29日の午後から始まった年末年始休暇もあっという間に過ぎてしまい、気づけば今日、つまり仕事初めの前日を迎えてしまった。

 ただ消費するだけの日々がこのまま永遠に続いてくれればどんなに良いか、と幼稚な考えが頭を過るが、これは全人類の本音だから仕方がない。幸い仕事は気の持ちよう次第で楽しくもあるから、できるだけ自分を気持ちの良い状態に持っていくことが大切である。

 さて、一方の趣味についてだが、大晦日に雪の米原駅で新幹線を撮ったきりで、2021年に入ってからは撮りたいものが浮かばずにいた。近江鉄道や北陸特急の雪景色、奈良線103系近鉄京都線を走る京都市交通局10系もいいかなぁ…などと逡巡するも、どれもクリティカルヒットしない。だのに心は何かを撮りたがっている。私は大きいだけの頭で熟考した。結果、その“何か”の正体は、柔らかい冬の光を浴びて走る気動車であるとの結論に達した。線路以外に余計な構造物の存在しない、鉄道の原風景を心は求めていたのだ。

 あとは行動あるのみ。これまで撮影に訪れたことのない関西本線の非電化区間へと足を伸ばしてみることにした。

 柘植から乗った亀山行きのディーゼルカーは繁忙期のためか2両編成、その最後部にかぶりついて良さそうなポイントを探す。すると、関の手前で日当たりの良い開けた空間を見つけることができた。

 関で下車。ここは東海道五十三次の47番目、関宿の最寄であり、今も往時を偲ばせる街並みが残っている。そちらはまた改めて訪れるとして、車内から唾を付けた場所に向かい、弥次さん喜多さんも通ったかもしれない道を歩き、20分強で現地に到着した。

 時刻は正午を回ってしばらく。空にうっすらとかかる雲の向こうから、太陽が程よく眩しい光を注いでいる。線路際の芒がその暖かな光を反射して輝き、山を越えて強く吹き下ろす北風に揺れていた。

 それにしても風が強い。面倒くさがりの私は基本的に三脚を使わないので、こういう場合は自分の短い足と体幹だけが頼りである。ダウンコートのフードを目深に被って、ただひたすらその時を待つ。

 目的の列車が加太を発車して数分後、山間にジョイント音がこだまし、やがてファインダーの左奥にヘッドライトが見えた。

 初めは堤の上を行く列車を横から標準域で捉えるつもりだったが、線路際の枯れ草がとても良い塩梅にきらめいていたので、加太方面からやって来る列車を望遠で迎えることにした。

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PENTAX KP + smc PENTAX-A ZOOM 70-210mm F4

F5.6 1/640 ISO-320

 やはり気動車は良い。キハ120形は民営化後に登場した軽快気動車だが、すでに製造から30年、最近では延命目的の体質改善工事が施された車両も登場している。小ぶりながらも力強い走りをするのが魅力的だ。

 さて、目的は果たせたので帰路に就くことに。撮影後、帰りの列車が発車するまで僅か20分しか無かったため、小走りで来た道を急ぎ戻る。“山の神”さながらの疾走ぶりであったと自負。

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F5.6 1/400 ISO-100

 無事、加茂行きの列車に間に合った。改札を抜けて跨線橋を渡る。非電化区間は架線が無いため、上から眺めてもスッキリしているから好きだ。今の地に移り住んでからは電車を撮ることが多くなったため、こうしてたまにディーゼルを撮ると新鮮な気持ちになれる。

 というわけで、2021年の撮影は関西線の非電化区間を走るキハ120形で幕を開けた。やはり私は、こうした日常的な鉄道風景を撮っている時が一番楽しい。何でもないと思っていた身近な風景が輝いて見え、無限に眠る可能性の片鱗を見た気がするからだと思う。