思いがけず珍しい列車に出会うことが、ごくたまに、ある。今日がそうだった。
13時ごろ。曇り空の大津駅で5087レを待っていた。その最中、上り外側線を間もなく列車が通過するとのアナウンスがあり、どうせ桃太郎の牽く貨物列車だろうと思っていたら、現れたのはなんと朱色のDD51形ディーゼル機関車だった。後ろにレール輸送用の貨車(チキ)をたった1両だけ連れて、非常にゆっくりと走り去った。
いわゆる“米原訓練”というもので、乗務員のハンドル訓練のために不定期で設定されているらしい。折り返しの時間を調べると、この後に控えている京都での用事を済ませてから北上しても間に合いそうなことがわかった。
用事を終え、近江塩津行きの新快速に乗り込む。今日は車両故障や遮断棒折れなどトラブルが重なり20分ほど遅れていた列車もあったが、幸い私が乗った新快速の遅れは僅か3分ほどで、それも130km/hの爆ぜるような回復運転で巻き返し、目的地の彦根到着は定刻であった。運転士さんの見事な職人技が光った。
駅からポイントまでは急ぎ足で向かう。着いてみれば、すでに10名ほどの同好の志が集まっており、DD51の人気の高さが窺えた。
昼間は厚く垂れ込めていた雲もずいぶんと薄くなり、柔らかい冬の夕光が包む中、赤いディーゼル機関車が軽快に駆けて行った。後ろのチキがチョコレートに見えて仕方ないのは、私だけだろうか。