天気予報を見ると、三重県四日市市一帯では「曇り時々晴れ」であった。もしスッキリ晴れなかったとしても、今回は前哨戦・ロケハン・下見と割り切り、次なるベストコンディションの機会の備えをしておこうと考え、始発電車に乗って三岐鉄道まで出かけてきた。
三岐鉄道には以前から興味があった。西武から払い下げられた色とりどりの旅客列車ももちろんだが、やはり目玉はセメント・フライアッシュを運ぶ貨物列車だろう。周囲を田園に囲まれた単線ローカル私鉄の線路を、車齢50を超える機関車の重連が10両以上のタンク車を連ねて行く。まさに鉄道の本領発揮といわんばかりの光景をこの目で見たかった。
琵琶湖線から草津線、関西線と乗り継ぎ、JR富田駅で下車。そこから歩いて10分もすれば、近鉄富田駅にたどり着く。三岐鉄道三岐線の旅客列車もここから出ている。かつては現在のJR富田駅にも乗り入れていたらしいが、近鉄との乗り継ぎ利用が圧倒的に多いということで、今の形になったそうだ。
ちなみに、JRへの連絡線は今でも残っており、こちらは先述の貨物列車が使っている。太平洋セメントから運んできた荷をJR貨物に引き渡し、その先に繋げるためだ。
自分の乗る列車を待っていると、801系がやって来た。ご覧の通り、元西武701系である。色も当時のレモンイエローに復元されており、「近鉄富田」が「西武新宿」ならそれはもう西武、といったレベルに仕上がっていた。
これの折返しに乗って、初めての三岐鉄道沿線へと向かった。
―つづく